| 第1章 | |
|---|---|
| 第2章 | 「クリスチャン・アイデンティティ」と |
| 第3章 | 19世紀半ばから続く「KKK」の歴史 |
| 第4章 | 「アメリカ・ナチ党」 |
| 第5章 | 「ナショナル・アライアンス」と |
| 第6章 | ネオナチのカリスマ的存在 |
| 第7章 | 「アーリアン・ネーションズ」と |
| 第8章 | その他のネオナチ・グループ |
| 第9章 | 全米に根を張る |
| 第10章 | 白人至上主義者たちの |
| 第11章 | アメリカ保守層の根強い支持 |
↑読みたい「章」をクリックすればスライド移動します
■■第1章:アメリカ社会の白人至上主義者
●アメリカでは1960年代における「公民権法案」の成立以来、人種を理由にした差別は法律で禁じられてきた。「公民権法案」の成立により黒人への差別は違法化され、多くの黒人議員や市長が当選することとなった。
エンターテイメント業界においても、黒人のスーパースターが多く誕生し、黒人の地位は格段に向上。アメリカの人種差別は消滅したかに見えていた。KKKのような人種差別組織も、「公民権法案」の成立と共に勢力をなくして過去のものとなったかと思われていたのだ。
●しかし、現実は違っていた。
彼らはその後も表面だった動きこそ控えるようになったものの、依然としてアメリカ社会の中に深く潜行し、巨大な勢力を温存していたのである。
●白人至上主義者といっても、その実態は様々である。
彼らを構成する人々は、少々古臭い考えを持った主婦から金融業界で働くビジネスマン、軍服に身を包んだエリートパイロット、果ては坊主頭をした過激派学生まで千差万別である。しかし、白人至上主義者に共通しているのは、彼らが人種差別論者であるという点だ。白人を最も優秀な民族と考え、他の民族を劣等の存在とする考え方は、彼らに基本的に共通するものである。特に、黒人、ユダヤ人に対する彼らの嫌悪は激しい。
●彼らは移民の増加による、白人の人口比率の減少に危機感を抱いている。
彼らは世界各国からアメリカに殺到する年間70万人という合法移民(特に中南米やアジアからの)の波に非常な恐怖感を持っている。
更に、隣国メキシコから国境を不法に越えてやってくる不法移民の数は年間30万人に達するとも言われている。出生地主義(生まれた場所により国籍が決まる)を取っているアメリカでは、そうした不法移民の子がアメリカで生まれることによって市民権を獲得することができる。特にカトリックを信仰する中南米移民は中絶を禁じられているため、一人の母親が5人以上の子供を生むといった例が珍しくなく、人口増加率が非常に高い。そのため、アメリカ市民全体に占める白人以外の民族の割合が日増しに高まっているのだ。
●こうした移民の増加が彼らに「自分たちの国が奪われる」という危機感を持たせ、「反移民」の旗印を掲げさせているのだ。
この移民排斥の考えは、アメリカで移民の子供達のために行なわれている「バイリンガル教育」に対する嫌悪感となって現れている。英語に代わって中南米移民のスペイン語が公用語と認められるのではないかという危機感が白人たちにはあるのだ。そして、その運動は英語のみを公用語とすべしという「イングリッシュ・オンリー」の運動を作り上げている。
◆
●またこれらとは別に、妊娠中絶も白人至上主義者たちの憎むところとなっている。
「反中絶運動」は保守的な一般市民を巻き込んで、現在巨大な盛り上がりを見せている。
ジェリー・フォルウェルがバージニア州に創立したリバティ大学には、中絶で殺された胎児の「慰霊碑」がある。アメリカ版水子地蔵である。彼らの中の過激派は、中絶を行なっている病院を放火・爆破したり、中絶容認派を殺害したりというテロを繰り返している。中絶賛成派は、中絶医を守るためボランティアでガードマンを引き受けている。
1982年以降、150件以上の放火・爆弾・銃撃で1300万ドル以上の物的被害が出たといわれる。1993、94年の2年間で5人の中絶病院関係者が暗殺され、8人が銃撃で負傷したほか、数十件の爆弾テロで負傷者多数が出ている。主な活動は、中部・南部地方。これらの組織にはKKK、ミリシア、全米納税者党が関与しているといわれる。
参考までに、代表的な「中絶反対テロ組織」として以下のようなものがある。
◆「オペレーション・レスキュー」……1990年、地下活動開始。本部ダラス。創設者ランドル・テリー(「全米納税者党」指導者)。指導者フリップ・ベーカー。放火・爆破も辞さない。◆「ミッショナリーズ・オブ・プレボーン・ナショナル」……「オペレーション・レスキュー」の過激派。独自の軍事訓練を行なっている。カリフォルニア州で活動。指導者はジョセフ・フォアマンとマット・トレウエラ。
◆「アメリカ生命活動家連合」……「オペレーション・レスキュー」の過激派。
◆「命の主唱者たち」……本部オレゴン州。中絶者の殺害を主張。1994年5月、侵入・業務妨害行為で病院に800万ドルの支払いを命じられる。指導者はアンドリュー・バーネット。
◆「防衛行動」……指導者ポール・ジエニングス・ヒル(現在、殺人罪で終身刑)
■■第2章:「クリスチャン・アイデンティティ」と「アングロ・イスラエリズム」
●宗教面では、白人至上主義者の多くは「クリスチャン・アイデンティティ」というキリスト教の一派を信仰している。
この「クリスチャン・アイデンティティ」の思想は、「聖書に書かれている『約束された民族』とは、実はユダヤ人のことではなく白人である『アーリア人』であった」とするものだ。
そして、ユダヤ人、黒人その他の有色人種は神のたたりとして地上に送られた劣等人種であると考える。特にユダヤ人は、悪魔の子であるカインの末裔であり、したがって悪魔の血を持った「悪魔の子孫」であるというのが、彼らの主張である。いわゆる、白人至上主義、反ユダヤ主義の「聖書的理論付け」といえよう。
!doctype>