2012年4月10日火曜日

(株)セイコーハウジング 不動産部の売買部門担当者のつぶやき : 世の中の動き


この大震災を受けて最近改めて、再認識せざるを得なくなったことを書かせていただこうかなと思います。そのことを書く前に、先月、私が土地のお世話をさせていただいたお客様とのやり取りの中で、思う事が有りましたので、書かせていただこうと思います。

そのお客様は、土地を探しながらも、既に家の建築を依頼するハウスメーカーの選択も同時進行の形で進めていらっしゃいました。
 何度か其のお客様ご夫婦とお話をして、ご希望エリアの売土地情報をすべて提供した後、私は一つの土地をお勧めしました。その後数日経ってから、そのお客様から建築を依頼されたという建築会社の営業マンが来られました。私が勧めた土地の事をいろいろと確認し、最後に、価格を少々下げていただきたい、というのは建築まで含めた総予算が、ぎりぎりのラインにあるから、何とかお願いできないかというのです。まあ、これはよくあることで、建築を請け負った会社の其のお客様の担当者が来店されたり、小さな工務店などの場合は、直接、其の工務店の社長様などが来られて、なんとか○○万円まで下げてくれませんか、そしたら、お客様がこの土地を買う決断をするように、こちらからもプッシュしますから・・・・とい� �パターンです。良くあることです。

 このパターンの時に私達不動産業者として一番いやな経過になるのが、其のハウスメーカーや工務店が不動産業者として免許を持っている場合で、仲介会社としてその会社も土地の売買に入ると言ってくる場合です。
 其のお客様を、その建築会社の担当者が最初に当社に連れてきて、土地を探してもらえないかと頼んできたというのなら、何も問題なく、売りと買いの業者として(ぎょうかいではこれを「分かれ」といいます)仲介業務を進行させます。しかし、この場合は、すでに当方がお客様と土地探しの最初の場面から、何度かお話をさせていただき、今、流通しているすべての物件から、やっと一つの選択をしようというところまで、私が進めてきたわけです。後は、お客様が『買います』という決断をすれば、契約上の詰めに入る段階なのです。

その段階で、横から急に、当社のお客様なので、当社も仲介者として入りますよというのは、営業として言えば、最後のクロージングの段階で、成果を他社に横取りされるという事なのです� ��その売買契約に、お客様自身が、その建築会社を自分の方の(買いの)業者としてどうしても入れたいというのなら、仕方ない事として、渋々認めざるを得ないのですが、そうでなければ、仲介会社として入るのは強く拒絶いたします。拒絶した上でも、この最後の段階になって、非常に気分の悪い仕事となりますので、気持ちよく仕事を進めることはできなくなります。


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 先月のお客様の場合は、そうはなりませんでした。其の営業マンは、「いや当社はこのお客様の家の建築を依頼されただけですので、土地の仲介には入りません。ただ、家を建てる土地に関しては、すべての事を把握しておかねばなりませんので、この後いろいろなことを御社にお聞きするようになると思いますのでよろしくお願いします」と、明るくさわやかに言ったのです。
 私の方としては、最も嫌うパターンになるかと内心苦虫を噛み潰さねばならないか・・・・と覚悟していたことを、さっと明るく打ち消してくれたので、『ほう!』と印象を「好」に傾けました。その後その営業マンはいろいろと土地の資料を受け取りながら、建築に関わってくる土地の要綱をしっかりと聞き、何とかこの土地に決めてもらえるよう、私の方からも話をしてみますと言って帰りました。後日、その通り、その営業マンの努力も有ったのか、その土地で契約が決まりました。
 
この営業マンに対して私の持った好印象が、更に尊敬の念に迄変わったのは、その後の土地の契約から引き渡しに至るまでの、その営業マンの動きを見て、また言葉を聞いての事です。

土地を購入するというのは、言うほど簡単なことではなく、いろいろ気を付けることや、やることが有ります。ステップとしては、2つ。「契約」と「引渡」です。
 まずは契約日を決めます。そして、その契約日の数日〜1週間程前に、その土地の重要事項説明というのをお客様(買主)にすることになります。この時に、買おうとしている土地が、どんな権利関係に現状有る土地なのか、どんな法的規制を受ける土地なのか、建築する上ではどんなことに注意せねばならないのか、道路は法的に言えばどんな道路なのか、土地の境界はどうなのか・・などなど、数十項目にわたって、説明をします。ほとんど、法律に照らした説明で、普段そのようなことを考えていない一般の方にしてみれば聞きなれない言葉が多く、難しく思えるし、うっとうしくも思えるようなことばかりです。ですから、わかりやすく、疑問を解きほぐすようにして説明しますから、2〜3時間かかります。長い人は4時間かかった� �んて事も一度ならずあります。

この建築会社の営業マンは、重要事項説明のコピーをあらかじめ要求しました。そして事前に読んできたみたいです。重要事項説明の時にはお客様と同席し、一緒に私の説明を聞いていました。お客様が私の説明を十分わかっていないなと感じたところでは、しっかりとフォローし、自分の言葉でお客様に補足しています。案の定2時間程説明にかかりましたが、無事に終わりました。私はお客様に、今説明した重要事項の書類と契約書のコピーを渡し、契約日までに必ず、もう一度眼を通し、疑問点・不明点が有れば遠慮なく連絡して下さいと告げて、その日の説明を終わります。

1週間後の契約日にも、やはりこの営業マンは同席しました。重要事項説明書や契約書に特に不明なことはなかった� �たいで、すぐに署名・押印をしていただき、手付金(契約金)の授受を済ませて、契約は終了です。
契約が済んだら、買主であるお客様は、なるべく迅速に金融機関へ赴き、ローンの本申し込みをしなければなりません。残金の決裁が約束の日までにできるように、土地の契約からあまり間をおかずに、ローン契約をするためです。


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 ローンというのは、あくまで住宅ローンです。土地ローンではありません。住宅ローンの契約をするには、土地の謄本や公図はもとより、建物の図面や、金融機関によっては、建築の請負契約書も一緒に必要になる場合もあります。これは後で聞いた話ですが、仕事で忙しく、なかなか時間の取れないお客さんに代わって、このようなローンに必要な書類を全部そろえたのは、この建築会社の営業マンでした。

そして、いよいよ土地購入手続きの最終段階。土地の引渡手続きです。普通は銀行の一室を借りて行います。
 ここでは、まずは同席を依頼した司法書士さんに、所有権を売主から買主に移転させるための手続きをしてもらいます。その確認が終われば、お金のやり取りです。買主であるお客様の通帳から、土地の残代金分のお金、その土地の税金の精算額、司法書士へ支払う、土地の登記申請手続きの税金や報酬料等を引き出して、それぞれの支払いをする事になります。引渡の作業の中で、このお金の入出金が一番時間を必要とします。時には数千万円の受け渡しを行うことになり、買主側からの出金手続き、売主側への入金手続きの両方をやります。ですから右から左というわけにはいかず、銀行側の手際が悪ければ、30分〜1時間かかってしまうこともよくあります。これを避けるために、事前に、或いは当日やや早めに行って、出金伝票� �書いて、銀行側にお願いしておけば、かなりスムーズにお金の入出金ができることになるのですが、当のこの営業マン、お客様から通帳を預かり、この出金手続きを、引渡の時間前にすべてやってくれていました。

おかげで、非常にスムーズに引渡が済みました。この営業マンの、事が進む一歩前一歩前に動くその卒のなさと、無駄のない動きに、ほとほと私は感心してしまいました。
引渡が終わって、感心しきった私はその営業マンに聞いたのです。
「住宅の営業の方が、土地のお世話をするのはよく見る事なのですが、普通は、契約までですよね。契約の日に一緒に来られる方も少ないです。でもあなたは土地の引渡のお金の入出金までお世話されてます。なんでそこまでおやりになるのですか?」・・・・「えっっ!」その営業マンは、少し怪訝そうな顔をして私を見ていました。
「え、私は当たり前と思ってやってますけど…」と明るい顔になっておっしゃる。
「購入する土地が決まれば、土地代金の出し入れまでは、ふつうは住宅の営業の方がタッチしないでしょう。良く、そこまでお世話されるなぁーと思いまして」…と、私。
「あ、いや、私は住宅の建築会社の営業担当ですが、私達は、別に家だけを売っているわけじゃないですから・・・・家を建てさせて頂くことで、お客様へ安心をお届けするというのが、私達の仕事だと思ってますから」

完全に一本取られました。こんなことをサラッと言える営業マンが本当にいたんだと驚くと同時にこんな質問をした自分が恥ずかしくなりました。


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社内のセミナーや、社外のセミナー等に参加して、講師から、『あなたの売ってる商品は何ですか?』という質問を時々受けることが有ります。最初のころは、素直に「土地です」「住宅です」と答えていましたが、いまでは少し賢くなって「安全、安心です」というような答え方になってます。でも実際、『その商品』を売ることができてるかと言ったら、自信は有りません。今回初めて、本当に、『その商品』を売っている人を見たので、みずから反省すること頻りです。

ちょっと、長い前置きになってしまいましたが、・・・・すみません、ここまでは前置きなのです。私も、「家」や「土地」を売るのでなく、『安全・安心』を売ることができる� �業者にならなければと思いました…という自己反省を書くためだけに、ここまで書いてきたのではないのです。このいつもセットで言われる「安全・安心」の事を書きたくて、この文章を書き始めたのです。ここから本題に入ります。

私は不動産の仕事をしておりますが、当社も、会社にとっての主業務は、住宅建築です。当社の住宅の営業スタッフにも、「安全・安心」こそ当社の商品だと言って憚るものは居ない筈です。だからこそ、毎日みな一所懸命なのです。「安全な家造りを当社はしているからこそ、住宅の建築後、お客様が安心して暮らしていただいているんだ」と思って働いています。

 今までは、この「安全」「安心」はセットだったのです。安全な家だからこそ安心が有るんだと。構造的にも、当社が建築す� ��家は耐震等級が標準でも2、最高等級3の家でも、問題なく提供できる。シックハウスの原因となるような、建材は絶対使わない。木材にしても、合板や工業生産品としての木材ではない、無垢の木を使うからこそ、安全。壁には、ビニールクロスは使わず、塗り壁をお勧めする。これも健康への安全性から。壁の中の結露により、柱や壁が腐ったりしない、またカビが発生して健康被害のない様、外張り断熱で、しっかり結露を防ぐから、家の安全性を保てる。火や電気を使わず、太陽の熱を利用して、24時間換気をしながら、家全体を暖房するから安全であり、住む人にとって安心感を得られる等々、家の安全性をしっかりと求め、家造りに反映させてきたからこそ、セイコーハウジングの家は、安心して住めますよ。これだけ安全なん� ��から、安心なんですよと、常にこの二つをセットにしてきた。「安全を追求すれば安心につながる」ということに疑いを持たなかった。

 そこに疑問符を付きつけたのが、今回のこの東日本大震災。
中でも津波を引き金にして起きた福島県の原発事故。今でも収束どころか、被害が拡大しつつあります。連日の報道の中で、東京電力や原子力安全委員会、政府等の発表データに多くの齟齬が有ったことから、まずは被災者、そして周辺住民、引いては全国民の信頼をどんどんなくしていきました。この信頼を失っていく過程の中で、私達は気付かされました。安全と安心は違うんだ!と。


 原子力に関しては、いろいろな関係機関が有ることを今回の震災で初めて知りました。
原子力安全委員会、原子力委員会、原子力保安院、原子力安全基盤機構、国際原子力機構等など、こと原子力発電の安全性に関係している機関だけでも様々ある。
 にも拘らず、いざ原発の事故が起きた時に何処に責任の所在が有るのかはっきりしない。国策として推し進めてきた国の責任が確かに有るわけで、事業者として原発を運営してきた東京電力の責任も重い。また事業者である東京電力を監視する立場にあった、原子力安全委員会もまた責任を逃れることはできない。
 現に被害が縮まることなく、どんどん事態は悪化・拡大して行っている。いまこの時には、責任論議をやっている場合ではなく、大きな権限を持つ国がリーダーシップを発揮して事故の終息にその力のすべてをつぎ込むべき時である。

なのに、政治は、その目を被災者でなく、自らの政局に向けて、指導者の首を切れ、つなげの論議に喧しい。事業者の方は、あとから指摘されて、データを出してくるように、被害状況をなるべく秘匿したいとの姿勢が見え見え、監督者である安全委員会は、その出してきた安全基準とやらの数字の根拠さえ説明できず、ちゃんと監視を続けていますとの、責任逃れ的発言に終始する。
津波の被害を受けているのに、その片付けさえ許されず、復興の道筋さえ見いだせない、原発周辺の住民たち。農業も畜産業も林業も、その被害の拡大を止められないで、それぞれの従事者は住むところを追われ、職場を奪われ、生きるよすがを次々に無くして行っている。だれも信じることができない。頼るところが無い。・・・・そう、同じ被災者同士の間以外にはどこにも信頼が無くなっているのです。

 原発ができる時には、東京電力も、国の対象者も、何が有っても炉心溶融(メルトダウン)は起きません。仮に起きても、高い放射能が外へ漏れ出るような事態にはならないよう、二重、三重の安全策を講じてありますよ。・・・・と、手を変え品を変え、様々な言葉で、安全性を訴えて、住民に対し説明をし� �きたはず。ところが、いざ事故が起こったら、「想定外」の事故でした。・・・・で終わり。
その何重にも訴えられた「安全性」を信じて、住民は、そして国民は「安心」していた。
そして今、国民は「安全」といくら言われても「安心」しなくなった。

 振り返って、私達も考えなければならない。『地震が怖いですね』『津波が怖いですね』というお客様に、「いや、当社の家は、耐震等級2です、3です。」「余震が何回も起こっても、その揺れを軽減するダンパーを付ければ、倒壊の危険性は軽減されるんですよ」「南海大地震が起きて、津波が起きたとしても、この地区までは及びませんよ。ハザードマップでの被害予想には、このあたりは被害が無い地域になっていますから、安全でしょう」・・・・と原発ができるときと同じく、その「安全性」だけを声高に叫んでいないだろうか?
そう、「安全」だけを懸命に説明しても、訴えても、決してお客様は「安心」しないことを忘れていないだろうか?そこに「信頼」が無ければ決して「安心」にはならないことを。

「安全」=「安心」  では決してなく、「安全」≒「安心」でもない。
震災後は、お客様にとっては、「安全」≠「安心」なのである。


この不等式を等式にするために、「信頼」というものが必要であることを、肝に銘じ
「安全」+「信頼」=「安心」・・・・であることを頭に入れて仕事をしていかねばならないと思う。
震災後の世の中の動きと、原発の事故の状況の推移とともに、先に書いた、住宅会社の営業マンがこのことを改めて私に教えてくれた。
感謝。感謝。



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